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ちょっと風変わりな名前の試験場が、加東郡社町にある。
酒米試験地。正式には兵庫県立農林水産技術総合センター農業技術センター作物部酒米試験地という。ここに、山田錦の原々種、いわば「純血種」が保管されている。
山田錦は全国各地で栽培されている。種籾も各地で採取され、栽培面積を広げているが、そうした種は、他品種の花粉が付着して、純粋山田錦に比べて微妙な変化を来たすのは避けられない。純血を保とうとすれば、”純粋培養”するしかない。その純血保存作業と研究に当たっているのが酒米試験地だ。純粋種は、ここから各地へ発信される。
この試験地に、全国の酒造家から寄せられた声がある。
「春の全国新酒鑑評会で、何年か連続して金賞を取ったことがあった。酒米は、日本晴を使っていたのだが、どんな米でも立派な大吟醸ができると皆に吹聴していた。念のためにと、山田錦と日本晴、両方で仕上げたところ、どちらも金賞を得た。ところが、この二種を、ひと夏貯蔵してあらためて利き酒をしてみて驚いた。味の幅、奥行き、きめの細かさ、なめらかさ、香味のバランス、すべてにおいて山田錦のほうが、数段勝っていた。これが”秋晴れ”とか、”秋上がり”とかいわれるものなのだろう。山田錦の不可思議さにすっかり魅入られている」
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