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取材者/なるほど。そういえば杜氏は米にもこだわって、夏に自ら育てた米をお酒にしておられるとお聞きしたんですが。
田中杜氏/「箙(えびら)」のことですね。夏の間、温泉町で米を育てるんですよ。兵庫北錦という米なんですけど、まぁ、自分で作った米で酒を作ってみたいと言ったら、会社が「じゃあ」ってことでね。少量ですが販売してみようということになって商品にしたんです。
牛も育ててるんでその糞を肥料にしてね。水は温泉町の山々から出た湧水ですから、綺麗な水ですわ。そうやって、自分で育てた米ですから愛着もありますし、こだわりもでますわな。五反ばかりの田んぼで作った分だけですんで本当に少ししかできないんですけど、一度呑んでもらえたらうれしいです。
本当は湧水も運びたかったんだけど、難しいね。法的にも衛生的にも……検査をしないといかんから。将来的には是非やってみたいとは思ってますけどね。
取材者/素材からご自分でというところで、何か心境的に変わられたところってありますか?
田中杜氏/つきなみになりますけれども感謝という部分が違ってきますわ。それまで原料を粗末にしてきた覚えはないですけんど、生産者の方々はもちろんのこと、酒づくりが多くの人々に支えられていることを非常に意識するようになりました。
呑んでいただく人、会社の方々、生産者の方とたくさんの人に支えられて32年ここで酒づくりをさせてもらってることは本当に幸せだし、そのぶん責任も重たいと感じてます。
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